3・私は何者?

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「リリカのその腕時計。スゴク高価な物だと思うよ。俺達なんか見た事が無いモデルだよ」  ニックが指を差すとリリカは左手首の時計を見る。 「なんか大きくて邪魔ね。色んな機能があるのだろうけど、時間が分かればそれでいいわ」  コウガもまじまじとその時計を見た。そして、 「でも、こうやって新しい仲間としてこのシェルターに来てくれたんだ。もし君が警察だったと記憶を取り戻しても、俺達の事は見逃して欲しい」  とリリカの目を真剣に見つめた。 「見逃すって?」 「俺とニック、そしてここの子供達がネームレスだってこと」 「ネームレス?」 「LTが無い人間だよ。政府が取り締まっているんだ」  ニックが補足する。 「ああ、これ?」  と右手を上げるリリカに、 「おぉ? 何じゃそのLTは?」  スズキが声を上げた。 「えぇ?」  三人が一斉にスズキを見た。 「普通はこれだ。光の加減でオレンジ色に反射する。あんたのは虹みたいだ。キラキラと七色に光る。そんなの見たこと無いぞ」  とスズキは自分のLTを三人に見せた。あと3人いる他の老人も自分達のLTを見せた。 「そうなの?」  不思議そうに右手首を動かして反射させるリリカ。
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