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3・私は何者?
空いている部屋を借りて記憶が戻るまで住まう事になったリリカ。
突然現れた女の子に子供達は大喜びだった。
「リリカ、お母さん役やって!」
「リリカ、一緒にシャワー入ろう!」
「リリカ、得意料理作って!」
「リリカ、一緒にネンネしよう!」
「リリカ、花嫁さん役やって!」
子供達はそれぞれに自分のしたい遊びをリリカに要求した。なんだか訳も分からず、子供達に付き合ったリリカ。今はようやく子供達を寝かし付けて、コウガ、ニック、数人の老人たちと食堂で団欒をしている。
「リリカ、真面目に全部付き合わなくてもいいんだよ」
コウガがリリカのカップに紅茶を足した。
「ありがとう。大丈夫よ、みんな嬉しいみたいで良かった」
紅茶をひと口飲むと微笑むリリカ。
「まともに相手してたら体がもたないぜ」
ニックも助言をした。
「いいの。だけど皆がやりたがっている遊びは意味が分からない。なぁにハナヨメって。どうしたらいいのか言われるままにやっただけよ」
リリカは首を傾げる。
「あぁ、俺達は知っているけど、普通知らないよな。大昔は〝結婚〟っていう制度があって、男女が一生共に添い遂げる誓いの儀式をやったんだ。その時の男を花婿、女を花嫁って言ったんだよ。花嫁はキレイな純白のドレスを着て花婿と誓いの指輪の交換をするんだ」
コウガは優しい眼差しをリリカに向けながら説明する。
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