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その約半年前の昭和63年7月…僕はまた7年ぶりに会った君に恋した。それでも僕は君を殺してしまった。
僕はこれまで5人の人を殺めた。
一人目は父親…。
二人目は母親…。
三人目は…。
四人目は僕の人生の中で
ただ一人だけ愛した君…。
そして、最後のひとりは僕自身…。
人の『生きる意味』や『生きる価値』を奪ってしまうことは、その人を『殺した』のも同然…そんな気がする。
歪んだ愛の果てに残ったもの…
それは僕が君についた最後の嘘。
ただそれだけだった。
HIROMIちゃん…僕にとって最後まで君だけが大切な、たった一つ神様がダメな僕を諌めるために遣わした宝物だった。
ーー嘘……
嘘って…
人はどうしてついてしまうのだろう?
一人の人として全てに正直に生きられればそれが一番良い。分かってはいてもできない人間だっている。僕はそんな人間の中の一人だった。
人生の最後の最後まで…死の間際まで僕は嘘をついてしまった。
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