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第3話「困惑と葛藤の片時片時」
「――さて、なぜ君達2人が生徒指導室に呼ばれたのか、分かるかね?」
「いえ……心当たりがありません」
「いやぁ……(心当たりがあり過ぎて)俺も、分かりません」
学校の最北東に位置するこの生徒指導室は、放課後になると既に薄暗く、年中ひんやりと湿った空気を漂わせる。
また、玄関から遠く、周囲に部室等も無いため、人気も殆どなく妙に静かで……まあ、一言で言って気味が悪い場所だ。
一教室分より僅かに狭い室内の奥に設置された生徒指導教諭専用のデスクに鎮座し、うっすらと笑みを浮かべながら俺達二人に問いかける女性。
時瀬川 有紗
昨年度、ちょうど俺達が入学するのと同時にこの学校に赴任してきた先生で、学年持ち上がりの二年連続クラス担任。
まだ小学生なんじゃないかと思える程の童顔と身長(150センチ前後?)に、うっすらとワインレッドの色彩を帯びた髪、リアルで着けているのを初めて見た時代錯誤も甚だしい片メガネ、真夏でもお構いなしの常時白衣着用などなど、魅力と個性、ツッコみどころを多数搭載した不思議な人だ。
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