<第二話>

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――私も女のはずだけど。ほんと、昔からわかんないことはたくさんあったもんなあ…。  どうして群れて行動しないといけないの、とか。  気に食わない相手に、どうしてはっきり言わないで陰口を叩いたり無視することで示すのか、とか。   男子にやたらセクハラとか言うくせに、自分達が男子にやる行動は軒並み棚上げしてくるのか、とか。  休み時間に一人でいたい子もいるだろうに、誘いを断られたら“付き合い悪い”“態度が悪い”で全部示してくるとか。空気を読めない、タイミングが悪かった子を親の仇でもあるかのように嫌ったりすること、とか。  女子の全てがそういう人間ではないと知っているけれど。時折見える、女性特有とも言えるそういった行動が昔からどうにも好きにはなれず――おまけに社会人になって、いい年をした大人達が学生達と同じようにしょうもない行動を繰り返しているものだから。  毎日本当にストレスが溜まっていたのである。誰かに愚痴りたかった。慰めてほしかった。――梨花子と部長の考えは一致していたのである。 ――許されないのは、わかってた。どう足掻いても、私は奥さんに勝てない。割りきった大人の関係ってヤツも、ありなんじゃないかって思ってた。それでも、好きな人と一緒にいられて、ほんの少し支えあえるなら…それで充分だって。  計算外だったのは――梨花子自身のこと。  自分で思っていたよりずっと、梨花子は大人にはなれなかったのである。一緒にいる時間の、雪嶋の優しい笑顔。触れてくる温かい手。満たされるセックス。それらに喜びを感じるたび、慰められるたび――もっともっと次がほしいと、そう願うようになってしまった自分がいた。
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