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――とりあえず、御飯食べてからいろいろ聞こう。せっかく待っててくれたんだし…。
お昼も食べていないというのなら、きっと相当お腹がすいているはずである。自分がここでごねるようなことをすれば確実に迷惑がかかるだろう。梨花子は手を合わせて、いただきます、と口にした。見れば悠梨も同じことをしている。――それだけ見れば、非常に育ちのいいお坊ちゃんにも見えなくはない。
――日本語、全然たどたどしくないな。てことは、日本人なのかな。見た目完全に外国人っぽいけど。
少年の眼の色は銀色のような灰色のような――いや、角度によってはうっすら青くも見えるかもしれない。よく見ると肌の色も自分達より白っぽい気がする。なら、白人なのだろうか。ちょっとそこらへんでは見ない外見だ。――非常に整った見目であることも含めて。ハーフというより、やはり純血の外国人に見えるが、どうなのだろう。日本人の眼と髪の色は優性遺伝しなので、外国人と結婚しても黒目黒髪になる可能性は高いとかなんとか――以前どっかの本で読んだような気がする。うろ覚えなので正しい知識かは怪しいけれど。
「…美味しいや」
思わず、口をついて出た。普通の焼きそばだ、それは間違いない。でも、麺が全然ベタついていないのである。野菜もヘタりすぎていないし、かといって硬すぎるということもない。炒める作業に慣れている――日頃から料理をしてきた人間のそれ、だとは思った。よくよく考えれば、慣れていないキッチンで料理をするというのはそれだけで大変なはずである。いくらそれそのものは得意でも、何処に何があるのか把握するだけで一苦労だったはずなのに。
「悠梨君って、いつも家で御飯作ってたの?」
「はい」
「じゃあレパートリーとかそれなりに?」
「…まだまだですが。多少ならお力になれると思います」
お力になれる、とか。中学生が言う言葉なのだろうか、普通。
ますます彼の育ちが気になってくる。――紗世の、あの切羽詰った様子を見ているから尚更だ。
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