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終幕 ボクは心に沁み込ませる
――こうして、事件は幕を閉じた。
ボクは家に帰るなり、母さんに泣いて抱き着かれた。
心配していたらしい。
だから警部さんも大急ぎで動いたわけか。本格的に通報されたら大騒ぎになってしまうからね。
ともあれ、ボクの身の危険はなくなった。
翌日、保健室には泪先生が笑顔で待ち構えていて、ボクをすげなく追い返す。
「君はもう、どこも悪くないでしょ~?」
ついに仮病認定されてしまった。
以前は無条件で招いてくれたのに、今は素っ気ないものさ。塩対応ってやつか。
でも、仕方ないのかな。ボクの心は完治し、こうして元気になったのだから。
保健室を引き返し、廊下をあてどなく歩く。
職員室の奥に『心理相談室』の看板が見えた。
(ナミダ先生……今日は来ないかな?)
まだボクは、ナミダ先生に礼を述べていない。
助けに来てくれてありがとうって。
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