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「冗談です」
「ほんと? やっと蔵本さんも冗談言ってくれるくらいに懐いてくれたかぁ!」
「懐いてはいません」
「つれないなぁ」
「部下をつってどうするんですか」
憎まれ口を叩きながらも、琴莉の表情は柔らかい。恥ずかしいところを晒してしまったせいで、少し警戒が解けているのかもしれない。
自覚しながらも、琴莉はあえてそれを受け入れていた。
「泊めていただいた上、ヘアメイクまでしていただいて、ありがとうございました。今度こそ帰ります」
琴莉が頭を下げて部屋を出て行こうとすると、またもや隼人に腕を絡め取られる。
「……まだ何か?」
「うん」
「何ですか?」
「せっかく可愛くしたから、このシワシワも何とかしよう」
「あ……」
服のまま寝たものだから、しわくちゃになっている。しかし、アイロンをかけるとなると、服を脱ぐ必要がある。
琴莉はブンブンと何度も首を横に振った。
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