03. 動き始めた運命の輪。

2/75
6501人が本棚に入れています
本棚に追加
/389ページ
「マジですか、琴さんっ!?」  パスタをクルクルと巻いていたフォークを取り落とし、祐奈が驚きのあまり固まっている。  琴莉はフゥと悩ましげに溜息をつき、眉根を寄せて頷いた。 「嘘だと言ってもらいたい……」 「なんでっ!? すごいじゃないですか! EAST JAPAN Collectionに行けるなんて! いいなぁ、私も行きたいなぁ」 「遊びに行くんじゃないんだけど」 「そっかぁ。じゃ、いいや」  「仕事だと、見たいものも見れないしなー、つまんなーい」と言いながら、再びパスタをフォークに巻きつける祐奈を見て、琴莉は小さく笑う。  この割り切り方が祐奈だ。あまりにもらしくて、何だかホッとする。 「それにしても、よほど買われてるんですね! やっぱり前のイベントで活躍したから?」 「さぁ? だとしても、恭子さ……えっと、課長から頼まれるならわかるんだけど」  対外的には恭子のことは「課長」と呼ぶべきなのだが、いまだに「恭子さん」と名前で呼んでしまいそうになる。  恭子と二人の時はそれでも構わないと言われているが、今はとりあえず「課長」と呼んでおく。
/389ページ

最初のコメントを投稿しよう!