03. 動き始めた運命の輪。

7/75
前へ
/389ページ
次へ
 ◆◆◆  EAST JAPAN Collectionの準備に忙殺される日々が続き、いよいよ明日が本番という日、琴莉は最終チェックに余念がなかった。  忘れ物がないよう持ち物を確認したり、資料を読み込んだりしているうちに、いつの間にかすっかり定時など過ぎていた。 「あ……もう帰らなきゃ。明日早いし」  荷物をまとめた後、自分のカップを洗いに給湯室へ向かう。明日に備えてか、フロアはすでに閑散としていた。  給湯室に入ろうとした時、琴莉は人の話し声にふと立ち止まる。ここから一番近いミーティングルームからのようだ。  扉が少し開いているのか、声が丸聞こえで、琴莉は一瞬立ち去ろうかと躊躇する。しかし、コーヒーを飲んだ後にカップを放置してしまうと汚れが染みついてしまう。さっさと洗ってすぐに退散しようと思って給湯室に入った時、女性の上ずった声が聞こえた。
/389ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6674人が本棚に入れています
本棚に追加