03. 動き始めた運命の輪。

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「だったら、私と付き合ってください。隼人さんが仕事ばかりでも、私は待ちます。疲れて帰ってきた時、隼人さんを癒してあげられるように。私、隼人さんを支えたいんです」  なんて健気なのだろうか。これほどまでに「好き」という感情を素直に伝えることができる英美里を羨ましいと思う。  しかし、隼人は穏やかに冷たい言葉を言い放った。 「仕事の後、癒される必要は僕にはないよ。仕事をしている時が一番楽しいんだからね。終わった後には充実感しかない」  一刀両断だ。なまじ声が優しいだけに、冷たさがより強調されているような気がする。スッと背筋が寒くなった。  琴莉は一刻も早くこの場から逃げ出したい気持ちでいっぱいになる。もうこれ以上の緊張に耐えられそうにない。  やがて、ミーティングルームからパタパタと駆けていく足音がした。そしてデスク辺りでガタガタと大きな音がしたかと思うと、再び駆け出す足音が聞こえ、静かになる。  ミーティングルームから出ていったのは英美里だ。そして急いで帰り支度をし、そのままオフィスを出て行った──。
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