03. 動き始めた運命の輪。

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「蔵本さん、これからはもうセーブしなくていい。自分の思うように、思い切り仕事してごらん」 「……」  ドキリとする。そういえば、隼人は以前から琴莉は仕事に対して一線引いていると指摘していた。 「というか、僕がそうさせるけど」 「え!?」  琴莉が目を大きく見開いて隼人を振り仰ぐと、隼人は魅惑的な笑みを浮かべ、琴莉に顔を近づける。逃げる間もなかった。  琴莉の唇に、温かい熱が触れる。 「それじゃ、明日はゆっくり休んでね。また明後日会社で」  隼人は笑って手を振り、車の方へ戻っていく。  琴莉は呆然としたまま、隼人が車に乗り込み、走り去っていく様をぼんやりと見つめ──。 「何……が……起こったの?」  途端、カクンと膝が折れ、その場にへたりこんでしまった。
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