04. 愛しさと切なさと。

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 どうすればいいのか。どうしたいのか。どうすれば、この恋を守れるのだろうか。  考えに考えて、それでも一向に考えはまとまらなかった。  だが、どうしたいのかは決まっている。  カーテンから漏れてくる光で、琴莉は朝が訪れたことに気付く。ゆっくりと立ち上がり、カーテンを開けた。  差し込んでくる眩しい朝日に目を細め、しばらく外を眺める。そして、心を決めた。  ──隼人の傍にいる。可能な限り。  隼人がいつか本当の気持ちに気付き、琴莉に別れを告げるまで。もしくは、琴莉自身が隼人の奥底に眠っているその想いに耐えられなくなる日まで。  可能な限りとは、そういうことだった。
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