05. 背中合わせで恋をする。

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 全てをなかったことにして、琴莉は隼人と向き合っている。  それはある意味、琴莉だけが隼人に背を向ける行為なのかもしれないが、それでも失いたくなかった。  自分がこれほど誰かに執着することなど、自分でも信じられない。  不安の種を抱えていることは苦しいことでもある。この爆弾がいつ爆発してしまうのか、恐ろしくなることもある。  この恋を失っても全てをハッキリさせたい。全てを嘘で塗り固めてもこの恋を守りたい。  琴莉は異なる二つの感情に振り回され、葛藤する。  もうすっかり板についてしまった偽物の笑顔を盾に、日々戦うしかなかった。
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