6711人が本棚に入れています
本棚に追加
心をなかなか開かない部下と、少しでもプライベートな時間を持ち、色々なことを話してみよう。それがこんな有様になっていて、ある意味嬉しい誤算だった。
普段は有能な部下、そして、ともすれば隼人よりも大人であるかのような対応を見せる琴莉も年相応だということがわかり、隼人は何となくホッとする。
「隼人さん」
「ん? 何?」
「隼人さん、働きすぎですよね」
「……」
今度は何を言い出すつもりなのか。
隼人が琴莉の言葉を待っていると、琴莉は独り言を言っているかのように話し始めた。
「週のほとんどは出張、社にいる時も打ち合わせであちこち動き回ってて、席に戻れば私に報告書やら出張清算やらを催促されて」
「……そうだね」
隼人は笑いを必死に堪えながら琴莉の話を聞く。
「いくらヘアメイクが好きでも、お休みも満足に取れなくてずっと仕事で、嫌になりませんか?」
琴莉の顔を見ると、琴莉が純粋に疑問に思っていることが見て取れる。
隼人は柔らかく笑み、首を横に振った。
最初のコメントを投稿しよう!