6711人が本棚に入れています
本棚に追加
「休みなんれ、なくてもいいくらい好きな仕事があっれ。それで……認められれ……」
「蔵本さん?」
「わらしも、好きらったのに。あんなに……」
「おいおい、ちょっと! こんなところで寝ちゃダメだよ!」
ウトウトとし始める琴莉の身体を揺するが、琴莉の目はすでにトロンとしていて、意識は風前の灯火だ。
隼人はガクリと項垂れ、とにかく早く琴莉を家に送らねばと焦る。
急いで会計を済ませ、タクシーを捕まえて琴莉を乗せる。そして、家はどこかを尋ねようとした。
「蔵本さん!?」
「……」
琴莉から、スースーと静かな寝息が聞こえる。
隼人は再び項垂れグシャグシャと髪を乱し、仕方なく自分も車に乗り込むと、運転手に自宅マンションの住所を告げた。
最初のコメントを投稿しよう!