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「何も覚えてないなぁ」
「ええ? じゃあ、昨日の夜、あんなに燃え上がったのに?」
「燃え上がった? 燃え上がったって、いったい何を?」
僕はびっくりして復唱した。
「いっぱい愛し合ったじゃない」
女は茶目っ気を出して言った。化粧をしていなくても可愛いというか、綺麗というか、とにかくいい女だった。
「本当に愛し合ったの?」
僕はうろたえながら尋ねた。
「うそ。あなたは私に指一本触れなかった」
「そうだよな」
僕はほっと胸を撫で下ろした。大変な過ちを犯してしまうところだった。
「あなたって、うぶなの?」
「うぶ? そうかも」
「私だってほとんど経験ないけれど、あなた二枚目だし、性格もよさそうだったから、私はそのつもりで勇気を出してここまで来たのに」
「ええ? そうなの?」
女が睨むように僕を見た。
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