1人が本棚に入れています
本棚に追加
時代が親切心を殺す
サイコパスは、今日見た風景をそのまま話す。
電車の中。向かい側に座る女子中学生ふたりが目に入った。
その隣には、おばあちゃん。歳は、おそらく70ぐらい。その隣にはおばあちゃんの息子らしい男性がいた。年齢は30代後半ぐらいだ。
電車が進み始めると、おばあちゃんは隣の女の子に話をかけた。
サイコパスは、何を話しているのか耳を傾けてみた。
すると……話の内容はこんな感じだった。
「お嬢ちゃん、荷物多くて大変だね」
「えっ? あ、はい」
「これには何が入っているの?」
「……習字道具です」
「あぁ、そうなんだ。習字ね。懐かしいわね。……学校はどこなんだい?」
「……××中学校です」
「あぁそうかい……」
一通りの会話がそこで終わる。
すると今度は、おばあちゃんが何かを手に持った。
その何かは、隣の息子らしき男性から手渡された何かだ。
「これ食べな」
「えっ……だ、だいじょうぶ……です」
明らかに女の子の顔が歪んだ。
「遠慮しなくていいんだよ。食べな。ほら、隣の子も」
渋々と受け取る女子中学生。その正体は、キャラメルだった。一つ一つが紙で包まれた四角いキャラメル。
それを貰った女子中学生は困惑していた。
最初のコメントを投稿しよう!