酒と泪と遊佐と堀越

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「そういえば、気になっていたんだが、堀越君は大学2年生だったな?確か」 そう聞かれたのは、堀越が遊佐に初めて抱かれてからまだ数日のある夜だった。 他の人の都合でたまたまシフトが早い時間に入っていたため、いつもよりかなり早くバイトが終わった堀越を車に乗せて、そのまま車を出す前にふと思いついたかのように尋ねる。 「そうですけど…」 それが、何か? 堀越は突然の話題にきょとんと首を傾げる。 「いや、この前の合コンのとき、お酒を飲んでいたみたいだから、もうハタチにはなっているのかと」 その合コンで、嫉妬した遊佐が、その場から彼を連れ出してしたあんなことやこんなこと…を思い出し、堀越はやや頬を赤くする。 「もちろん二十歳になってますよ…俺、6月生まれなんで」 お酒解禁になってからまだ数ヶ月だし、サークルにもゼミにも入っていないのでそんなに飲む機会がなくて、たまにああいうところでビールをちょこっと飲むぐらいですけど。 そう言いながら、少し落ち着かなげにシートベルトを握り締める堀越に、遊佐は思いがけない提案をしてきた。 「それなら今日は、私と飲みに行こう」 時間もまだ早いからね。 そして、ギアを入れ、車を発進させる。 「今後のためにも、自分がどのくらいお酒を飲めるのか、ある程度限界を知っておくといい」
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