ラスト・レター

2/8
184人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「見て見て、(なお)」  玄関でサンダルも脱がないまま、華はコンビニエンスストアのビニール袋から平たい箱を取り出した。  俺はシャワーを浴びたばかりで、ハーフパンツに上は裸、頭にはバスタオルというだらしない格好をしていた。 「何?」  華は俺よりも頭ふたつ分小さい。  半年前、俺の方から強引に押し切って付き合い始めた彼女は、ひとつ年上のくせに子供っぽくて、すぐ泣くしすぐ甘える。  でもそんなところが愛しいと思う。  華は勿体ぶって「ふふふ」と得意気に笑い、ようやくサンダルを脱いだ。  夏だから仕方ないけど、ショートパンツに素足というのは少し気に食わない。  華は狭いキッチンを抜け、「足の踏み場がなぁい」と楽しそうに言いながら、グレーのシングルベッドにすとんと座った。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!