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「クリスマスのお返しが楽しみだなぁ」
「何だよ。それが狙いか」
「……ね、どこ連れてってくれる?」
クリスマスなんて半年も先のこと、考えてねーよ。
でも半年後、一年後も、俺の隣には華がいるんだろうなと、ぼんやりと想像した。
「じゃ、ホテルかな」
俺がそう言って笑うと、華は思い切りしかめっ面をしてみせた。
「いや、ホテルっつっても、すげー高いところだし。プレゼントも手紙付きだから」
「あ、手紙いいね」
華は分かりやすく、喜怒哀楽を率直に表現する。
鼻先にある無邪気な笑顔。
俺の好きな、愛嬌のある華の笑顔。
俺はゆっくりと唇を合わせた。
こうするといつも、彼女は少しだけ身を固くする。それが堪らなく可愛くて、愛しい。
生ぬるい湿った風と、夏の匂い。
窓の外ではうるさいくらいに蝉が鳴いている。
手を添えると華の襟足は汗ばんでいて、それさえも愛しく感じた。
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