ラスト・レター

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 季節はあっという間に、俺たちを置き去りにして過ぎていく。  華が持ってきたお揃いのスープマグは、やがて見慣れ、俺の部屋に馴染んだかのように見えた。  でも実際は違った。  俺はただ、慣れという居心地の良いものに、だらしなくもたれ掛かっていただけだった。  違和感は、ずっとそこにあったのに。
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