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「確か知ってる人に追いかけ回される夢を見たんだった。」
「ほう、実に興味深い。」
そういうと老人は見開いた目を今度は糸のように細くしてこちらの顔を覗き込み、衝撃の一言を俺にお見舞いした。
「貴方は今後一週間の間に死ぬでしょう。」
「は?」
「これから諸々ご説明いたします。」
おいおい、いきなり人の家に上がり込んどいて好き勝手言って挙げ句の果てに余命宣告だ?
「じいさん悪ふざけが過ぎるんじゃねえか?マジで通報すんぞ?」
怒りを露わにすると老人は
「私の姿がお見えになるのは貴方様のみでございます。」
また訳の分からないことを!
「ふざけんな!デタラメばっか言いやがって!」
怒りに任せ怒鳴ってしまう。子供の時以来の気がする。
大きな声は部屋の外にも聞こえたらしく外から聞き覚えのある声がした。
「ヴェクターさん大丈夫かい!?」
今部屋を借りているアパートの管理人さんだった。すぐにドアを開け管理人さんに助けを求めた。
「管理人さん!部屋に変な人がいるんです!」
そう言って管理人さんと二人でゆっくりと部屋を見渡す。部屋には例のごとくまだその老人がいた。
「人なんかいないじゃないか。」
「!?」
何を言ってるんだ、しっかりといるじゃないか。
「何言ってるんですか!そこにいるじゃないですか。」
俺の指差す方向を振り向き管理人さんはもう一度
「いないじゃないかい。」
と否定した。なんでだ?
「ヴェクターさん私は家賃の請求に来たんだよ!いたずらならここを出ていってからにしてもらいましょうか?」
そうこっぴどく叱られ、陳謝しもう少し待っていただくようお願いし帰っていただいた。
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