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迫田颯斗大学2年の春、所属する『クイズマニア』という名称のサークルに、新入生が入って来た。
皆の目線が一斉にそいつに集まり、そして釘付けになった。
クイズマニアは、その名の通りのクイズ愛好会。
時にクイズが得意な大学生が持ち上げられたりするテレビ番組があるが、彼らはクイズ大会優勝などの実績があり、頭の良い芸能人に勝ったりする。しかもテレビに出てるからそうなるのか、あるいはやはり見栄えの良い人を番組が選んでいるのか、総じてそこそこかっこいい。
クイズマニアサークルも、歴代の先輩達、颯斗や他の現役メンバー誰もがクイズ番組オーデションは受けている。しかし予選落ちだったり、本選に出場出来ても早々に負けてしまう。
華やかな実績も無い中途半端なクイズオタク、これではただのウザい知識自慢。
そして見た目。
揃いも揃って、残念ながら残念なビジュアル。
そんなクイズマニアサークルに、まさにヒエラルキーの頂点に立つ、背がすらっと高くお洒落でイケメン、笑うと白い歯が印象的な男が入部希望ですと入って来た。
「大原貴文君だね。ね、ほんとに入ってくれるの?」
入部希望用紙と本人を見比べながら、3年の部長が念を押す。
「はい、クイズ好きなんで」
にこっと笑う笑顔が爽やか過ぎて皆の視線が引き寄せられる。
「クイズ経験は」
「2年前、高3の時高校生クイズの番組で優勝してます。ちょっとのめり込みすぎで受験失敗したくらいなんで。浪人組です」
「あっ!ああっ覚えてる!断トツで強かったK高の」
颯斗は思わず叫んでしまう。元々クイズ好きとしてその番組は必ず見ていた。2年前、自分と同い年の高校生が番組史上最強の強さで優勝まで駆け上がったその回は特に良く覚えている。快進撃を続けるその3人組のうちの1人がモデルかアイドルかというほどのルックスで、司会者がクイズ界にプリンス降臨とか陳腐な煽りを言っていた。
颯斗だって毎年オーデションは行っていたのだ。いつもそこを勝ち進めば本選出場という段階で落ちた。
テレビの中、同い年のそいつは優勝、そしてそのルックス。天は二物を与えまくり、なんて不公平。
嫉妬の塊で見ていたから、よく覚えてる。
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