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「プリンス大原…」
颯斗の呟きに貴文が振り返った。
「そのあだ名久しぶり。浪人生として世間から隔絶してたので」
『爽やか』を辞書で引いたらおまえの顔が出てくるのかよ、というツッコミを入れたくなる笑顔で颯斗を見る。
気恥ずかしくなり、思わず視線をずらした。
何、動揺してるんだ俺。
後輩に見られたくらいで…。そうだ、同い年だったけど浪人組のこいつは今は後輩だ。
俺は先輩なんだから、偉そうにしてやる。高校生クイズの優勝者をアゴで使ってやる。
嫉妬のあまりそんな最低な事を考えている颯斗に、貴文は笑顔を崩さず言った。
「これからよろしくお願いします」
貴文が入部した事で、それまでいなかった女子部員まで入ってきた。ただ明らかに貴文目当てで、クイズサークルの戦力にはならない。それどころか、それまでクイズ一筋のメンバーが女子部員に浮き足立ち、クイズに対する熱意がダウンしている。
「えーじゃクイズマニアの新歓コンパ始めます。まずは部長の乾杯の挨拶から」
幹事の、颯斗と同じ2年の真島にふられた3年の部長が立ち上がる。
「今年のクイズマニアの新入部員数は過去最高です。みんなでクイズ愛溢れるサークルに発展させていきましょう。乾杯!」
4年も参加してる新歓コンパなので、部長もそれなりに良い事言ってけど、クイズ愛つーより大原愛に溢れるサークルに成り下がってるだろ!と颯斗は心の内で悪態をつく。
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