第1章

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「いかがでしょうか?」 コンタクトに変えてはっきりと見える鏡の中には、確かにそれまでのもさい颯斗とは違う颯斗がいた。 毛先に微かなウェーブをかけて、色も好感の持てるダークブラウン。まだ2年で就活するわけじゃないから、カラー入れましょうと貴文に勧められた。 颯斗のバイト代で払える中で貴文が選んでくた服も、その髪型によくマッチしている。 「ほら、やっぱり。先輩かっこ可愛いって思ってたんです」 「え、あ、何言って…」 貴文の言葉に『ふざけんなよ、褒めても何も出ないよ』なんて突っ込みたいのに、言葉が上擦る。 俺はおかしい。 そう、一時的におかしくなってるだけだ。 眼鏡をコンタクトに変えて、お洒落美容室に行って、サマージャケットなんか着ちゃって、普段の俺と違う。 同性の後輩に、いや歳は一緒だけど、そんな男にときめくとか、そんな事、あり得ない。
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