第一章  K318星

1/49
前へ
/49ページ
次へ

第一章  K318星

 ここは、K318星。 天の川星雲にある地球に、よく似た星だ。 地上には、太陽の光がサンサンと降り注ぎ、豊かな自然に満ち溢れていた。 この地には、多様な生物たちを従える三つの種族が暮らしていた。 それは、ハダカデバネズミ族、犬族、そしてひと族だった。 ハダカデバネズミ族には、立派な王様がいた。 しかし、都市伝説によると、この王様は魔物の詐欺集団にそそのかされて、とんでもな い失態をしたそうだ。 失態の内容は定かではないが、王様が酷く落ち込んだ事は確かだった。 この王様の名前を、ハダ=ミセール といった。 魔物の存在はミセール王を苦しめただけではなく、三族の力の均衡も狂わせていた。 ひと族の地に魔物の木が生えてから、ひと族は犬族の地を奪おうと企み始める様になっ ていた。  K318星の安定を願うミセール王は、魔物に対抗するため、そしてかつての様な失 態を繰り返さない為に『正義の椅子』を同じ種族の魔術職人マーゴに作らせた。 それは、サファイアの石を埋め込まれた銀の椅子だった。 正義の椅子に座る者は、どんなことがあろうとも、魔物に心を奪われることは無いのだ った。 この正義の椅子に座ってからミセール王は、民が一番望む平和な世界をつくる事を、強 く願うようになった。 その善い心がけにより、ミセール王はつい最近、天から超能力を授けられた。 ミセール王が砂漠の地下にある城で、正義の椅子に座っていると、 「そなたに、『スーパー天地眼』の超能力を授けよう。この力を使うと、遠方の出来事  や将来を見通す事が出来る。K318星の平和に役立てると良い」 天井から金の光が降りてきて、ミセール王を照らした。   ミセール王は早速スーパー天地眼を使って、遥か遠い犬族の地を観察することにした。 ミセール王が目を閉じると、騎士学校から帰宅する犬族の学生達の姿があった・・・
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加