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誰を想って、自慰をしたかなんてはっきりしていた。
けれど美夕はそれを応えることに躊躇いを覚えていた。
自慰をする時に思ったその人が、自分の素直な感情とリンクするのか分からなかった。
たとえ心と躰が求めるものがリンクしたのだとしても、それを口にしたことで、今ギリギリで均衡を保つ危うい関係が崩れてしまうような恐怖があった。
無になって抱かれなければ、わたし自身も崩れてしまう。
わたし自身を形成する〝躰〟が、〝心〟が崩れてしまう。
「美夕」
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