月を仰ぐ

1/8
245人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ

月を仰ぐ

「美夕、誰を想っていた?」 「んんっ」  背中にぴたりと密着する楊の胸を感じながら、美夕は首筋に掛かった吐息にフルッと震えた。 両乳房を包む楊の手は、焦らすようにゆっくりと揉む。 先端が、早く弄って、と言わんばかりに固く尖っていた。  楊の部屋のベッドからは西に傾いた細い月が見えた。 脚の間の一部分が、熱を帯びていくのを感じ、目に涙を滲ませる美夕には、頼りなげな月が溺れているように見えた。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!