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――楊君だよ。わたしは今夜、楊君を想っていたの。
心を抱きしめ、締め付ける楊の声に、思わず口にしそうになった言葉を美夕は呑み込み、首を振った。
美夕の胸の奥深くに、楊の溜息が流れ込んだ。
胸中を締め付ける痛みが美夕を苦しめる。
自分の想いのベクトルは幼い頃から同じ方向を向いていた。
そのことに、気付かなかった。
気付かないまま、こんなことにズルズルと嵌ってきた。
普通に想い合える関係であればよかったのに!
「今夜はお仕置だね」
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