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第二話 奇病
お母様に教えてもらった通りの道を進むと神社は直ぐに見えてきた。
着慣れない着物で少し歩きづらかったが、それでも十分程度の道のりだ。
それより、これがお母様の言っていたこの村特有の風習か何かなのだろうか。どういう意図があるのかは分からないが、余所者の私が口を出すべきではないだろう。今は黙って従っておこうと思い、私は足を早めた。
「ここで……いいのかしら、でも……神社よね、ここ」
神社の鳥居の前で、私は立ち尽くす。神社に行けと言われ、来たのはいいのだが……。
その『真理亜様』とやらはどこにいるのだろう。周りも暗いし、この動きづらい格好で動き回るのも得策ではないと思い、素直に社務所へ向かうことにした。
「あの……すいません」
「何でしょう」
社務所にいた中年の男に話しかける。愛想のない強面の男だったが、私の着物姿を見て何かを察したようで、すぐに社務所の中に私を迎え入れる。
「火村 秋乃様ですね。裕子さんからお話は伺っております。どうぞこちらへ。真理亜様がお待ちです」
そして、社務所の奥の廊下を通され、明かりのない神社の奥の方へひたすら歩かされた末、私は一つの扉に突き当たった。
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