chapter.11

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慌ただしく電話を切ると、矢代は毛布を身体に巻き付けた森谷湊に駆け寄って、揺り動かした。 「森谷さん、森谷さんっ。3時半ですよ!」 「......ん、」 森谷湊は微かに反応したが、目を開ける事無くさらに身体を丸めてしまう。どうやら寝起きが悪いらしい。 「森谷さん、起きて!」 「んー」 「起きろっ、て」 矢代は、最終手段で毛布を剥ぎ取った。 悠斗に対してやるようになってしまい、本当に息子がもう1人増えたような感覚に陥る。 しかし転がっているのは息子ではなく、人気俳優の森谷湊だ。 「んんー」 安眠を妨害された森谷湊は、往生際悪く床の上で背中を丸めた。 重ね着したTシャツがめくれ上がり、背中と下着がチラ見えしている。 矢代は目を逸らしながら、声のボリュームを上げた。 「3時半ですよー? ヤバくないですかー?」 「んえ、」 突然、森谷湊は起き上がり、その反動ですぐ傍にいた矢代は尻もちをつきそうになったが、どうにか耐えた。 「3時半? なんで?」 起き抜けの森谷湊は、まだ状況を飲み込めていない。 「約束あったんじゃ? 大丈夫ですか?」 「あ、」
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