134人が本棚に入れています
本棚に追加
慌ただしく電話を切ると、矢代は毛布を身体に巻き付けた森谷湊に駆け寄って、揺り動かした。
「森谷さん、森谷さんっ。3時半ですよ!」
「......ん、」
森谷湊は微かに反応したが、目を開ける事無くさらに身体を丸めてしまう。どうやら寝起きが悪いらしい。
「森谷さん、起きて!」
「んー」
「起きろっ、て」
矢代は、最終手段で毛布を剥ぎ取った。
悠斗に対してやるようになってしまい、本当に息子がもう1人増えたような感覚に陥る。
しかし転がっているのは息子ではなく、人気俳優の森谷湊だ。
「んんー」
安眠を妨害された森谷湊は、往生際悪く床の上で背中を丸めた。
重ね着したTシャツがめくれ上がり、背中と下着がチラ見えしている。
矢代は目を逸らしながら、声のボリュームを上げた。
「3時半ですよー? ヤバくないですかー?」
「んえ、」
突然、森谷湊は起き上がり、その反動ですぐ傍にいた矢代は尻もちをつきそうになったが、どうにか耐えた。
「3時半? なんで?」
起き抜けの森谷湊は、まだ状況を飲み込めていない。
「約束あったんじゃ? 大丈夫ですか?」
「あ、」
最初のコメントを投稿しよう!