0人が本棚に入れています
本棚に追加
「え? え? 古谷さん……まさか……」
「そうよ。私、クリスマスは女の子と過ごすの」
「……マジか」
両頬に手を添えて、恥じらうように古谷さんは笑う。その衝撃の告白に、俺はショックだったけれど、妙に納得もしていた。
俺は今日、日直で一緒になるまで古谷さんの魅力に気づかなかったけれど、こんなに綺麗な子なんだ。俺だけが見出したわけではないだろう。だけど、今まで他の男子が騒いでいなかったのはこういうわけだったと思えば、何も不思議はない。
ああ、そうか、そういうことなのか、などと心の中で呟いて、動揺を鎮めようとしたけれど、なかなかうまくいかない。そんな俺を、古谷さんは楽しげに見ていた。
「藤田くん、何か誤解してない?」
「……え?」
「引っかかった」
「え?」
書き終えた日誌で口元を隠しながら、それでも堪えきれないといった様子で古谷さんは笑っていた。完全に悪戯っ子の顔だ。だけど、俺は彼女がなぜ笑っているのかわからない。
「私は、彼氏はいません。クリスマスは女の子と過ごします。それってつまり?」
「……彼女がいるってこと?」
「違うよー。やっぱり、騙されたんだね」
「……どういうこと?」
最初のコメントを投稿しよう!