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第4章 引きこもりの日常
━━ひんやりとした床、無機質な壁と鉄格子、手錠と重りつきの足枷。
空色の髪は手入れが行き届いてない証拠に伸びきっており、元々中性的な顔立ちである彼は少女と見間違えそうになる。そんな彼の、怯えたような黒い瞳に写るは2人の男女。
「ーーさて、良い子にしてたか?」
「あらあら、相変わらず気持ち悪いわねぇ。特にその蒼い髪と黒い目。ほんと穢らわしいわ」
2人とも貴族らしい煌びやかな服を着こなしており、風格が漂っている。
「・・・・・・お父さま、お母さま!!もう嫌です!!助けて下さい!!」
「まあ、なんてこと!!」
両手を繋がれた少年の震える声を、女が遮った。
「いつの間にそんな我儘を覚えたの!?おまえに拒否権なんてあるわけないでしょう?」
「え・・・・・・?」
「今更なに驚いてんだよ、穢らわしいガキが。ーーおまえは部屋に戻っていろ」
「分かりましたわ。早く戻っておいでね」
女が格子の中から見えない所まで行ったのを見計らって、男は少年を繋ぐ牢へ入った。
「――さてと、今夜も始めるか」
男が呟きながら手持ちのバッグから取り出し始めたのは、数々の魔導具。
――男の仕事は魔導具の制作と商売。少年を使って新しい魔法道具を試すのが、彼の“日常”だった。
「今日は、雷魔法と組み合わせて使える伸縮自在の鞭でも試すか」
「いっ、いやです!!やめて下さい!!助けて・・・・・・っ」
少年の訴えには一切耳を傾けず、男は少年に滲み寄って行く。
「分かってると思うけど、大人しくしてろよ?《雷鞭の鉄槌》」
呪文を唱えた男が、右手に持つ雷を帯びた黒い鞭を、少年に向けて振り下ろし――。
「・・・・・・な。カラシナってば!!」
「――――ッ!?・・・・・・ああ、プルメリア様」
「ああ、じゃないわよ。貴方、自分の立場分かっているの?」
金髪の美少女――プルメリアが、両手を腰に当てて頬を膨らませながら、紅い瞳でカラシナの顔を覗き込んでいた。
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