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(久しぶりに見たな、あの頃の夢)
カラシナが零した軽い舌打ちに、プルメリアは自分へ向けられたものだと思ったのか、ため息を零しながら口を開いた。
「カラシナ、いいこと?貴方は私の従者、つまり執事なの。仕事中なの。ちゃんと自覚があって?」
「急になんすか、そのお嬢様言葉」
どこか機嫌が悪そうな棘のある口調でカラシナが反論するが、プルメリアは引き下がらない。
「なんすか、じゃないの!!私が言いたいのは、本来は仕事中に居眠りなんて言語道断ということ。そもそも一人称が『俺』だったり、敬語がどこか乱雑だったり、指摘すべき点は数えきれないほどあるわ!!従者とは、執事とは何なのか本当に分かってる!?」
早口で捲し立てるプルメリアに、さすがのカラシナも一瞬怯んだ。
そもそも執事とは、1人の主に絶対的な忠誠を誓い、身の回りの世話や主からの命令をこなす人達のことを指す。
だがカラシナの場合、言葉は乱れ、プルメリアをどこか下に見ているようにも感じられる態度をとっている。
「昨日は初対面だったしあまり話せなかったから流したけれど、2日目である今日からは覚悟しなさい」
「何を覚悟すれば良いんですか?」
「私に注意を受けないようにしなさい、ということよ!!本当に分からないの!?それとも私をおちょくっているの!?」
真剣に怒るプルメリアを見るカラシナに表情は無い。けれど同時に、どこか楽しんでいるようにも見えた。
それはどうやら、プルメリアにも当てはまるようで。
「――ふぅ。まったく、貴方みたいな人は初めてだわ。良くも悪くもね」
「ありがたきお言葉」
「褒めてないわよっ!!」
反論するプルメリアの口元は笑みをかたどっていた。
「ところでプルメリア様。改めてお伺いしますが、普段は何をなさって生活しておられるのですか?」
窓の傍に寄りかかって立っているカラシナが、自身の左眼を隠す空色の髪を触りながらプルメリアへ尋ねた。
不意に名前を呼ばれたプルメリアは、手に持っている本から目線をカラシナへと移す。
「基本はこうして本を読んだり、窓から外を眺めながら考え事をしたりしているわね。ああ、たまに私のもとへ来てくれる男性から色々なお話を聞くこともあるわ」
プルメリアが付け加えた言葉に、カラシナが珍しく反応した。
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