第5章 2人の王女

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 艶のある金髪(ブロンド)と簡素ではあるがドレス姿であることから、ただ者ではないことは容易に想像出来た。 「まだですの?私たちも暇ではーーあら?どなたかと思えば、見かけない顔ですわねぇ?」  カラシナの足音にいち早く反応した右側の女性が振り向いた。左側の女性もつられてすぐに振り返る。  同時に、2人の間にうまれた隙間からもう1人女性の姿が見えた。彼女を見つけたカラシナが声をかける。 「あれ?プルメリア様、お部屋から出ておられたのですか?」 「・・・・・・ええ、まあ」 「俺がいない時に出る際はあらかじめ伝えるよう申したはずですが」  3人へ近づくカラシナへ、プルメリアはどこか引き攣った笑みを向けるのみだった。 「ごめんなさい、色々あって。それより、カラシナこそ遅かったわね?」 「そうですか?あー、もしかしたら考え事してたからかも──」 「へぇ、貴方がカラシナ?随分若いですのね!もっと年寄りだと思っていたから驚きましたわ!」  カラシナの言葉を、左側に立っている方の女性がわざとらしく遮った。 「ああ、はい。ええと・・・・・・」  その唐突な展開と彼女のペースについていけず戸惑うカラシナに、プルメリアが耐えかねて口を挟んだ。 「だから言ったでしょう?カラシナはとても若くて女性のような美しい青年だと。私は嘘なんてついていなかったと分かって頂けますか?お姉様方」 「“お姉様”?ということは、そこの美しい御二方が残りの王女・・・・・・ーーッ!た、大変失礼いたしました」  目の前に立っている2人の美女が何者なのか理解したカラシナが、柄にもなく動揺しながら慌てて右膝をつき、(こうべ)を垂れた。  頭の少し上あたりで、握りしめた左手を右手で包みこむように合わせている。  他でもない、古くから国に伝わる敬礼だ。 「この度プルメリア様の専属執事を勤めさせて頂いております、カラシナと申します」  抑揚の無さこそ普段と変わらないものの、相手が(まご)うことなき王女である故か普段より口調がハッキリとしている。  その様子を3人の王女はただ黙って見ていた。プルメリアの瞳はどこか暗いようにも見えるが。 「・・・・・・本来であれば初日に挨拶すべきものを非常に遅れてしまったこと、深くお詫び申し上げます」
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