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艶のある金髪と簡素ではあるがドレス姿であることから、ただ者ではないことは容易に想像出来た。
「まだですの?私たちも暇ではーーあら?どなたかと思えば、見かけない顔ですわねぇ?」
カラシナの足音にいち早く反応した右側の女性が振り向いた。左側の女性もつられてすぐに振り返る。
同時に、2人の間にうまれた隙間からもう1人女性の姿が見えた。彼女を見つけたカラシナが声をかける。
「あれ?プルメリア様、お部屋から出ておられたのですか?」
「・・・・・・ええ、まあ」
「俺がいない時に出る際はあらかじめ伝えるよう申したはずですが」
3人へ近づくカラシナへ、プルメリアはどこか引き攣った笑みを向けるのみだった。
「ごめんなさい、色々あって。それより、カラシナこそ遅かったわね?」
「そうですか?あー、もしかしたら考え事してたからかも──」
「へぇ、貴方がカラシナ?随分若いですのね!もっと年寄りだと思っていたから驚きましたわ!」
カラシナの言葉を、左側に立っている方の女性がわざとらしく遮った。
「ああ、はい。ええと・・・・・・」
その唐突な展開と彼女のペースについていけず戸惑うカラシナに、プルメリアが耐えかねて口を挟んだ。
「だから言ったでしょう?カラシナはとても若くて女性のような美しい青年だと。私は嘘なんてついていなかったと分かって頂けますか?お姉様方」
「“お姉様”?ということは、そこの美しい御二方が残りの王女・・・・・・ーーッ!た、大変失礼いたしました」
目の前に立っている2人の美女が何者なのか理解したカラシナが、柄にもなく動揺しながら慌てて右膝をつき、頭を垂れた。
頭の少し上あたりで、握りしめた左手を右手で包みこむように合わせている。
他でもない、古くから国に伝わる敬礼だ。
「この度プルメリア様の専属執事を勤めさせて頂いております、カラシナと申します」
抑揚の無さこそ普段と変わらないものの、相手が紛うことなき王女である故か普段より口調がハッキリとしている。
その様子を3人の王女はただ黙って見ていた。プルメリアの瞳はどこか暗いようにも見えるが。
「・・・・・・本来であれば初日に挨拶すべきものを非常に遅れてしまったこと、深くお詫び申し上げます」
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