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第6章 メンヘラの|所以《ゆえん》
「・・・・・・少し、教えてあげる。私と、お姉様方や国王陛下、女王陛下の仲が悪いことを」
視線は窓へ向いたまま、プルメリアは独り言のように語り始めた。
カラシナはその様子を濁った瞳で眺めながら、一言一句聞き漏らすまいと耳を傾けていたーー。
ーーそして、今に至る。
「第1、第2王女と第3王女の仲が悪い?国王や女王とも?」
首領と呼ばれた一人用の椅子に深く座る男の、隣に立っている眼鏡をかけた男ーーインテアスが口を挟んだ。
「はい。というのも、第3王女は第1、第2王女と腹違いらしく、その母親は少々ワケありで、本人もそれ故に王室で疎まれているようです」
カラシナは顔を上げて抑揚なく答える。
それこそが、プルメリアがカラシナへ明かした『姉と両親を嫌う理由』でもあった。
「ある日突如王城へ連れてこられた第3王女は、知っている者や頼れる相手はおらず、何もわからないまま部屋での軟禁状態を強いられました。十数年も前、まだ彼女の年齢は1桁だったそうです」
ここでカラシナが一旦言葉をきった。
タイミングを見計らっていたかのように、椅子に座る初老の男がカラシナへ立ち上がるよう促す。
カラシナは大人しく従い、立ち上がると話を続けた。
「それから、たまに会う2人の姉王女から常に嫌味を言われ、女王はあからさまに嫌って冷ややかな視線を注ぎ、唯一の知人であり彼女が城へ来ることになった原因でもあるはずの国王は、第3王女に対してまるで赤の他人であるかのような振る舞いだったようです」
インテアスが眼鏡を右手の指で抑えながら低く呻いた。
「それは確かに嫌うだろうな。十数年も自由を奪われる、それも幼い頃から。想像を絶する苦しみを味わっているのだろうな、第3王女は」
だが、眼鏡を抑える手はそのままに、インテアスはどこか馬鹿にした口調でカラシナに言い放った。
「・・・・・・まあ、感情というものを知らないような『生ける人形』であるお前に、第3王女の気持ちなど分かるはずもないだろうな」
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