01_結婚

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01_結婚

 結婚式は、やたらに盛大だった。  ネップ島の女たちが総出で作った山盛りのご馳走に、島じゅうの樽を持ち込んだかというほどの酒。村長の長話に、子どもたちの歌、伝統の踊り。俺は退屈だったが、集まった客たちは、英雄の凱旋と結婚という慶事に、みな揃って笑顔だった。  新婦の名前はプライム。小麦色の肌に黒い髪、そこに纏った純白のレースのドレスの美しさには、客ばかりでなく新郎である俺自身も息を飲んだ。帝都の城の謁見の間に掛かっていた豪華なカーテンを貰い受けてきたのは俺だが、まさか、こんなに似合うとは。島の仕立て屋も相当張り切ったとみえる。常夏のネップ島の固有種だという青白い花も、プライムの髪に飾ると見違えるほど華やいで見えた。     
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