働く女子の憂鬱と不思議な黒猫

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課長は三十代後半の子持ちの既婚女性。仕事はできるが、機嫌を損ねてしまうと大変だとうちの社内で最も扱いにくい上司の位置付けになっている。 私たちがミスをしたことで機嫌が悪いこともあれば、課長がどういうわけか元々機嫌が悪い日もあって、後者の場合は事あるごとに小言を言われて最悪だ。 今日なんて午前中はそうでもなかったのに、この昼休み中に何か課長の機嫌を損ねるようなことがあったというのだろうか……。 昼休み終了まで続いた課長の小言を聞きながら、課長の不機嫌の理由を考えてみるも、全くもってわからないのであった。 * 「美紅(みく)、お疲れさま。プレゼン無事に終わってよかったけど、お昼は大変だったね」 「本当だよ、もう……」 私、石橋美紅は、この会社に新卒で入社して今年で五年になる。 今日は勤務終了後、同僚で親友の戸田真奈子(とだまなこ)と、会社の近くの焼き鳥屋さんに来ている。 大きめのジョッキに入ったチューハイとすでに肉は食べ終えた後の串を手に、私は昼休みの課長との一件を思い返して肩を落とす。 プレゼンは成功したけれど、課長の機嫌は会社を出るまであんな感じで、この先が思いやられるようだ。     
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