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闇雲に歩くも次第に体力に限界が来て、私は視界に入った青いビニール袋のそばに座り込む。
その時、私のすぐ隣に黒猫が居ることに気がついた。
最初から居たのだろうか。
丸まって眠る黒猫を見て、何故だか目元が熱くなる。
「あんたは呑気で良いよね、気楽に眠ってられるんだから」
自分としては頑張っているつもりなのに……。
「私とかわってくれたらいいのに」
私は黒猫の丸い背を撫でた。
*
あれ……?
いつの間に眠ってしまったんだろう。
目を開けて辺りを見回すと、ブルーのゴミ袋に囲まれていることに気づく。
やだ。私ったら、いくら酔ってたからってゴミ捨て場で寝てたなんて……!
ところで、今何時!? 終電……!
自分の鞄も近くに見当たらなくて、さらに焦りが増す。
どうしよう。スマホ、鞄の中なのに……。
酔ってゴミ捨て場で寝てた挙げ句に鞄までなくしたなんて、洒落にならない。
すっかり夜は更けてしまったのか人通りはない。
とりあえず、駅の方に行きたいんだけど……。
その場を立とうとした時だった。
何となくさっきから違和感を感じてはいたけれど、明らかにおかしいと感じたのだ。
何で、こんなまるで四つん這いになってるような感覚……。
だからといって、この体勢が特別苦なわけではないのが、また不思議だ。
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