プロローグ

2/3
前へ
/3ページ
次へ
僕は歩いていた。 どこに向かって、とかじゃない。 ただなんとなくそこは暗い道で、 止まっている理由もなくて、 特に体も疲れていなかったから。 しばらく進んだような気がするが、何も見えてこなかった。真っ暗い中ではもう、真っ直ぐ進めているかさえ分からなかった。 でも今更引けるわけもなくて意地だけでただ歩いた。誰も見ていないのに。 そもそも僕はなんでこんなところにいるんだっけ、とふと考えたが、考えたところで答えは出なかったので諦めた。進めば出口が見つかるのか、とか。そんなことも。 またしばらく進んだ。 相変わらず景色は変わらない。 暗順応はとっくに終わってるはずだけれど何も見えないものだから、もしかして意識だけが漂っているのか?とも思ったが足元には確かに地面の感覚があった。 僕は生きてるらしい。 しっかりと実体を持って。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加