[第一章]七月九日 死神?

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「……きゃあああっ!」  まわりからの悲鳴とともに、たくさんの人がどっと車道に飛び出す。  見ているだけしかできない私。 「……私は……ここにいる……のに────……」  自分はここにいるんだと、どんなに訴えても、聞こえも見えもしない。  私の体をすり抜け、みんな倒れているもうひとりの私のもとへ駆け寄る。 「ああ、かわいそうに……」 「まだ若いのに……」  私を(あわ)れむ人たちの声が耳に入る。  ……私、  本当に死んじゃったんだ…………。
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