[第一章]七月九日 死神?

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「……うそ、なんで?」  ポロリと、涙がこぼれ落ちる。  私、お化けなのに、どうして涙が出てくるの? 「あー、しょうがないな。人は早かれ遅かれ、いつかは死ぬんだって。俺たちの場合、それがちょっと早かっただけ。なっ?」  私の頭を優しく()でながら、彼はそう(なぐさ)める。  思わず「うん」とうなずきそうになったけど……。  「全然慰めの言葉に聞こえないんですけど!」 「は? これでも気(つか)ってやってんだよ。あきらめろ、もう死んじまったんだし」 「…………」 「ということで、お化けライフ、エンジョイしようぜ♪ なんてな」 「全然うれしくない!」 「あー、めんどくせーな」 と、彼はやれやれといった感じで、私の隣に腰を下ろす。
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