[第一章]七月九日 死神?

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 ……え?  私は目をぱちくりさせると、きょろきょろと見回す。  まわりは見物人たちで、ざわざわとしていた。 「どうした?」  きょとんと、私の顔をのぞき込む彼。 「……なんか今、声が聞こえたような……」 「声? 聞こえなかったけど」 「気のせい?」  そんななか、一匹の猫が人込みをすり抜けて、ゆっくりと歩いてくる。  ……あの猫っ!  私が追いかけていた、あの黒猫だっ!  まさか、あの猫がしゃべったわけじゃないよね?  ないない、猫がしゃべるわけないって。
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