夏休みが終わり

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夏休みが終わり

 昼休み終了のチャイムが鳴ってバタバタと教室に戻ってくる女子生徒達を、他人事の様に眺めていた私は親友の奈美の手を取り廊下へ向かう。 「サボっちゃおうよ」 後ろめたさを隠すかのように、聞こえるか聞こえないかギリギリの声はチャイムにかき消された。 「え?何?トイレ?授業始まるし!」  奈美の声を無視し、私はとにかく先生に見つからない様、足早に屋上への階段を登り出す。次の授業が家庭科のせいだろうか、繋いだ手を奈美は振り切らない。ガチャガチャと手首に巻かれた髪留めの音が伝わってきたのもつかの間、キュッと奈美の足が地面を踏み込んだ。 「美咲、もしかしてサボるの?お茶とお菓子とってきていい?」  察しのいい奈美はスカートをひるがえし、階段を飛び降りた。バンッと言う着地の音が静かになった廊下に響き、スカートがめくれ上がるが体育用のジャージを重ね履きした彼女に色気もクソも無い。改めて女子校の気楽さを噛み締めた。     
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