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園田「とにかく、いたのが私だけでよかった。校長にまで上がると、交渉の余地がなくなるし、他の保護者に見られていたら、騒ぎが大きくなるし。これからも気をつけて下さいね」
静雄「(ぼそっと)一対一にしないのがよかったということでしょうか」
園田「そうです」
校門
かなり暗くなっている。
足早に戻ってくる朋子。
翔太の姿がない。
朋子「翔太、…翔太?」
名前を呼びながら探し始める。
みるみる血相が変わる。
職員室
いきなり、ドアが開いて朋子が飛び込んでくる。
その勢いにびっくりする静雄と園田。
朋子「翔太がいませんっ」
静雄、園田、あわてる。
園田「落ち着いて」
静雄「どこに待たせていたのですか」
園田「落ち着いて」
朋子「校門のところに」
園田「携帯は持たせていますか」
朋子「いません。有害なサイトを見たりしてはいけないっていうのと、主人が子供に持たせる金はないっていうもので」
と、そこで携帯が鳴る。
朋子、自分のものであることに気づいて、出る。
朋子「もしもし」
赤沢家・中
健太「俺だ。翔太を一人でほっぽり出して何やってるんだよ」
翔太、ランドセルを下ろして手を洗っている。
○ 教員室
朋子「(虚を突かれて)あなた? 翔太はどこ?」
健太「家だよ」
朋子「どうして」
健太「友だちの携帯を借りて、俺の携帯にかけてきた」
朋子「(どっと疲れが出る)迎えに来てって?」
健太「そう」
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