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帰り道は、たくさん話をした。小さかった頃の思い出がほとんどだったけど、本当にお父さんとはよく遊んでいたんだなと改めて感心した。お母さんとだったら、こんな思い出話はできないかもしれない。
「違う屋根の下に暮らしても、お父さんはお父さんだし。今だってどうせ平日はあまり顔合わせてないしね」
こんな日ぐらい、素直に気持ちを伝えられるかわいい娘でありたいけど、本音とは裏腹につい小憎たらしいセリフが口をつく。
「それは、里桜がすぐ部屋に行っちゃうからだろ」
「んじゃあ、お父さんが引っ越すまではできるだけリビングにいるようにするよ」
「なんか、嬉しいような、寂しいような。不思議な気持ちだな」
私だって寂しいよ。悲しいよ。ツンとする鼻を押さえて上を向く。
「――またドライブ行こうよ。彼氏できるまではつきあってあげる」
たまらずそっぽを向いた私の頭を、お父さんがそっと撫でた。
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