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再び座って湖を眺めながら、僕らはただ寄り添って時間を過ごした。
やがて日が傾き、あっという間に辺りは茜色に染まる。夕日が湖に映って水面が煌めくのを見届けてから、僕らは手を繋いで、家へと帰った。
簡単に夕食を済ませると、僕らは寝室の窓から星を眺めた。
「今日は本当に良い一日だったわ。一日、とても穏やかだったもの。とても楽しかった」
「……僕もだよ」
そう答えながら、僕の胸には少しずつ、寂しさが広がっていた。
しばらく二人で星を眺めて、いくつか流れ星を見送った。そのうち、アンが小さく欠伸をした。
「アン、そろそろ寝ようか」
「……ええ、そうね。残念だけれど」
僕とアンは、並んでベッドに入った。アンが先に目を閉じる。
「おやすみなさい」
「ああ。おやすみ、アン」
僕はそう言って、アンの額に軽くキスをした。そして横になり、目を閉じた。
意識が急速に遠退いていくのを感じた。
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