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君と素敵な夢を見る
目が覚めるとそこには、妻の姿はなかった。
けれども、不安はない。おそらくキッチンに居るのだろう。コーヒーの良い匂いが漂ってきているし、楽しそうな、少し調子はずれの鼻歌も聞こえている。
僕はベッドから起き上がり、寝室を出た。
「あら、おはよう。思ったより早かったわね」
テーブルにコーヒーの入ったマグカップを置きながら、妻――アンが僕を見て微笑んだ。
テーブルの上には、既にサラダと目玉焼き、バターを塗ったトーストと、食べやすく皮をむいてカットしたオレンジが並んでいる。
「丁度できたところよ。冷める前に食べましょう」
アンが先に椅子に座った。僕も、アンの向かいに腰かける。
朝食を食べながら、アンは言った。
「今日はね、お弁当を作ったの。お天気も良いし、後でお散歩に行きましょう」
「良いね、そうしよう」
僕がそう返事をすると、アンは嬉しそうに笑った。
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