第1章 プロローグ:「手を繋ぐとは?」

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 教室にふたりで居残ることはあまりない。  放課後の過ごし方がふたりで異なっているので授業後まで一緒にいることはまずない。  大体授業で座る席は離れているからろくに話さないのが常である。  学校でふたりきりになると後でクラスメートにつつかれるのをふたりして面倒に思う性格だった。だから放課後もむしろ一緒に帰らないことの方が多い。  それに彼はある日は図書館で勉強したりまたある日はバスケチームの仲間に誘われたり、忙しそうだった。 「悪魔と契約した」と噂される彼は都合のいい時だけ「優等生のエース」扱いなのだ。  彼女はそれを横目に、彼と契約した。都合などない。  ただ彼が好きと言っただけだった。
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