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なにせ、この魔物が跋扈する陰鬱な世界では、勇者は【魔を導き寄せる者】として、割りと世の人々に嫌われ敬遠されている存在なのだ。
まあ、勇者の俺からしたら当たり前の現象かもしれない。だって敵である大魔王からすれば、出来るだけ早めに勇者なんて害悪は潰してしまった方がいいに決まっている。
だもんで俺たちは、魔物どころか野盗団相手にも手こずる弱小国家や村や街には迷惑千万な一団で、表立って言われはしないものの、毛嫌いされている存在なのだ。
なのに、この帝国は、長年本気で大魔王軍と戦ってきただけあって、俺たち勇者御一行さまを嫌がりもせず、君主(お姫様)自らすすんで暖かく出迎えてくれ、宿所を城内に設け歓待してくれた。
その御恩に報いたい。
そうお姫様に伝えたところ。。
『ならぬ!勇者さまたちは妾の大切な客人である!わが帝国の都合に付き合わせる訳にはいかぬ!』
『しかしそれでは…、それでは彼らの熱い感謝の念を無駄にしてしまいまする!!』
『しかし、勇者たちはこれまでも、曾祖父皇の代からも投入したが全て帰ってこなんだではないか!妾は彼らに死を強制する温情なぞ、与えたつもりはない!』
『そ、それは…そうですが…』
『我々が、四人自ら望んで行くのです。この答えではいけませんか、我らが女皇陛下?』
国君であるお姫様と重臣たち、とりわけ髭の大公爵は俺たちの意をくんで【御前会議】までも組んでくれ、幾日か会議をやり、やっとのこと俺たちの誠意を受け入れてくれたお姫様は、、『…すまぬ。妾が総て悪いのじゃ。すまぬ、すまぬ…』
と、涙を浮かべて項垂れながら、俺たちに謝罪の言葉を繰り返し、繰り返しいったあと…。
『たのむのじゃ…』
そう、小さな声で承諾の意思を示した。
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